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COCOON 月の翳り星ひとつ(月の翳り編)

COCOON月の翳り編見てきましたとても良かった…

以下ネタバレありの舞台感想です。星ひとつ編はまだ見てません、あと他シリーズのネタバレもあり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンジェリコめちゃくちゃ良かったですよね!!!

前々から「お前ら何でもかんでもイニシアチブで解決しようとするなよ!!」というのは少し思ってたんですが、そこに来て(ディエゴのイニシアチブを上書きするために)噛み、でもイニシアチブで命令することなく、家名の力でもなく、ただ自分の気高さだけで服従を誓わせたアンジェリコ様…

父のような偉大な吸血種に、と彼はずっと言っていたけれど、あの瞬間私は「君はもう父を超えたよ!!!」と思いました。

今作のアンジェリコは全体的にグランギニョルのゲルハルト卿に寄せてたと思うけど、ここの瞬間についてはむしろ(ゲルハルトがなりたいと思っていた)ダリちゃんの方に近いように見えました。ヴァンパイア嫌いの歌麿さんとも最終的にはうまく関係築いたり、家名や血の力ではない能力、人柄によって孤独ではなく人の輪の中にいるダリちゃんの方…

 

でもそれほど人としての格を見せたアンジェリコが、TRUMPではむしろ「イニシアチブでなんでも解決する」側になり、ああなってしまうのは、ラファエロに理解されなかったからなんですよね…「君は僕であり僕は君なんだ」をぶつけた相手から何もかえってこなかった、感情を持て余した子の末路(父ゲルハルトも原初信仰してみたり危うい時期もあったけど、彼は逆にダリちゃんとのライバル関係が途絶しなかったために最終的に救われた)

序盤〜中盤のラファエロが自信なさげな少年なのに対し、ラストシーンあたりではTRUMPでの冷たい優等生よりになってるなーと思ったんですが、それはきっと深い繭期の中で手を伸ばしてなりたい自分(ウルの守護者である自分)を掴んだからで、その望みに対して誰かの理解を求めたりしていない中、ただただひとりぼっちで理解を求めてくるアンジェリコを見たらそれは憐れんでしまうよな…アンジェリコラファエロの持っているものが欲しかったけど、ラファエロはべつにアンジェリコの持っているものが欲しくはなかったから。アンジェリコラファエロ→ウル→ソフィの順に嫉妬や執着が巡っている…

 

アンジェリコの悲しいところは、上記のような気高さ誇り高さ、他人を従えるカリスマ性を持っていながら、「それでもラファエロがいなければなんの意味もない」と思ってしまったところなんでしょうね。

観劇前は、アンジェリコ一人だけが自分の出生の秘密を知ってしまう、というストーリーでTRUMPでのあれやこれやはフラ家の血を引いていないことを思いつめたゆえだったのだ〜〜的な感じなのかなーと思ってたんですが、彼の執着も歪みもただただラファエロのみから発露していた

繭期を越えて、その視野の狭さが解決されれば父を超えたと思うんだけどなあ…残念だなあ…

 

カーテンコールではけるとき、アンジェリコはただ前を見ているのにラファエロはアンジェリコの方を見ていて、とても辛かった…

ところでダリちゃんもゲルハルトも、もっと家庭でよくおはなししたほうがいいと思います。